問診(医師の問診・問診票)
ピル処方前にかならず行う問診
ピルの処方を希望して婦人科や産婦人科に訪れた時、まず最初に行うのが問診票への記入です。自己申告による問診票への記入と、医師による問診は、低用量ピルの処方前にかならず行う検査・診察のひとつです。
問診で何が分かるの?
問診では、ピルの服用によって起きる可能性がある副作用を、事前に察知する狙いがあります。
低用量ピルは、女性なら誰でも飲めるという薬ではありません。服用者(あなた)の年齢や体重、生活習慣に応じて、医師が処方を判断します。健康状態によっては、避妊の効果や副作用のリスクが高まることもあれば、低下することもあるからです。
副作用のリスクは、糖尿病や高血圧、高脂血症など、様々な病気と合わさることによっても高まります。肝酵素に影響を与える薬との併用でも、副作用の起き方は変わってくるのです。
慎重投与の判断
医師は、ピルを服用するあなたの健康状態や問診の結果から、なにかしらの副作用があらわれるリスクを事前に察知し、服用の方法や量など、細かな経過観察の必要性(慎重投与)を判断します。
禁忌の判断
避妊の効果が弱くなったり衰えたりする可能性がないか、避妊以前に体に有害な作用を引き起こす可能性がないか、ピルを服用してはいけないような病気を持っていないかなど、使用禁忌にあたらないかを丁寧にヒアリングしていきます。
問診で疑問や不安も解消しよう
問診は、医師が患者に対して一方的に質問する場ではありません。あなたが感じている、ピルの服用に関する疑問や不安を解消する場でもあります。事前に調べたことや自身の体調に関すること、いま飲んでいる薬やサプリメントなども、メモに書き留めておいて持参すると良いでしょう。
問診ではどんなことを聞かれるの?
問診票に記載されている内容は、妊娠の可能性や喫煙歴、高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の有無。子宮頸がんや乳がんの病歴など様々です。
以下に具体的な問診の例と、該当する場合のリスクを一部記載します。
- 妊娠中、または妊娠の可能性はありますか?
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- 妊娠中の服用に関しては、低用量ピルの安全性は確立していないため、服用できません。
- 授乳をしている場合は、産後6カ月は服用を見送ります。
- 授乳していない場合でも、静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)の危険因子がない場合は産後21日以降から、危険因子がある場合は42日以降から服用をはじめるよう指導されます。
- 授乳中ですか?
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- 母乳の量が減る恐れがあります。
- 母乳の質が下がる恐れがあります。
- 母乳を飲んだ赤ちゃんに、黄疸や乳房腫大の症状が報告されています。
- 過去に喫煙していた、または現在も喫煙していますか?
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- 現在喫煙していても、35歳未満であればピルの処方が受けられる可能性があります。
- 35歳以上の喫煙者は、心筋梗塞等の心血管系の障害が発生しやすくなるという報告があります。また1日15本以上の喫煙量の方は、リスクが高いため処方が受けられません。
- 静脈血栓塞栓症のリスクが上がります。喫煙経験がない女性が低用量ピルを服用した場合と比較すると、過去に喫煙経験がある女性は 1.2倍、現在も喫煙している場合は 2.3倍 に上昇します。
- 激しい頭痛や片頭痛がありますか?
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- 片頭痛以外の頭痛がある、という方は服用できます。
- 片頭痛の前兆がない、かつ35歳未満の方は服用できます。
- 片頭痛の前兆がない、かつ35歳以上の方は、脳卒中のリスクが高まるため服用できません。
- 年齢に関係なく、片頭痛の前兆(存在しない光がチカチカと点滅して見えるなど)がある場合は、脳卒中のリスクが高まるため服用できません。
上記のような問診の結果、必要に応じて子宮頸部細胞診や乳房検査(触診)、STD(性感染症)検査など、さらに詳しく診察や検査を行います。
- この記事を書いた際の参考文献